専門性の高い「配管設備」企業の成長戦略
2025/12/03
【コンサルレポート】建設業の未来を担う挑戦者:専門性の高い「配管設備」企業の成長戦略
先日、建設業で高い専門性を持つ中小企業経営者様から、ヒアリングをさせていただく機会を得ました。
この企業は創業から5年でありながら、非常にエネルギッシュな会社です。特に、工場内の設備、具体的には配管工事を専門としています。彼らの手掛ける配管は、一般的な水やお湯が通るものとは異なり、主に薬品を取り扱うことが特徴で、メッキ関連の会社からの依頼が多いという、非常にニッチで専門性の高い分野で活躍されています。
事業内容は、設備の増設や更新、さらには既存配管の移動や切り替えといった、インフラ維持に欠かせない重要な工事が中心です。
若き経営者が直面する「資金繰り」の課題
現在の経営者様は、今年から事業を引き継いだばかりの二代目です。前経営者(お父様)が、本業とは異なる新規事業(飲食業)の立ち上げ準備で多額の費用を先行投資し、結果的に事業化に至らなかったという背景があり、会社の資金繰りに大きな影響を与えていました。
事業の状況としては、仕事量は非常に豊富です。しかし、現在の社員数は社長を含めて4名にとどまっており、多くの仕事をこなすために外部の協力会社(外注)に頼らざるを得ない状況が常態化しています。外注費はコスト高につながり、「もったいない」と感じておられます。
この企業が直面している最大の課題は、運転資金の確保です。
特に、大きな工事を受注する場合、材料費などで多額の費用(数百万円規模)が先に出ていく一方で、クライアントからの支払いが入ってくるのは、工事が完了してから数ヶ月後になるケースがあります。このタイムラグが資金繰りを圧迫しているのです。
さらに、直前期の決算書には、前述の経緯から大きな営業損失が計上されており、銀行に相談しても、すぐに融資を受けることが難しい状況となっていました。
成長への明確なビジョン:人材確保と世代交代
しかし、経営者様には明確な成長ビジョンがあります。
現在の仕事量を背景に、今後は外部への依存を減らし、新たに社員を1~2名増やしたいという強い意向をお持ちです。特に、協力会社の方々が高齢化しているため、若い人材を迎え入れ、将来を見据えた世代交代を進めることが、喫緊の課題と認識されています。社員を増やせれば、安定した仕事量を元に売上をさらに伸ばし、会社に利益を残したいと考えています。
経営コンサルタントとしての提案と支援
私は、この企業の高い専門性と豊富な仕事量を強みとし、資金面と経営体制の両面から支援を開始しました。
- 当面の資金繰り対策
- 直近の数ヶ月間(1~2ヶ月)は、一時的な大型入金が見込まれており、そのつなぎ資金の確保が重要となります。その後の継続的な資金プールのためには、長期的な対策が必要です。
- 経営計画の策定を通じた融資の道
- 現在の経営課題や過去の特殊な財務状況(前期の損失)を詳細に説明した事業計画書を作成します。この計画書をもとに銀行に融資を申し込むことで、運転資金を確保し、先行投資の負担を軽減することを目指します。 また、政府の新しい施策として、事業計画を策定し金融機関と連携する事業者への融資を優先的かつ拡大する制度が導入される動きがあり、これも活用できる可能性があります。
- 既存返済の見直し
- もう一つの選択肢として、既存の借入金に対する毎月の返済額を一時的に減額する「経営改善計画」の利用も提案しました。これにより、手元の資金を増やし、キャッシュフローの改善を図ります。
将来的には、人材が安定し、経営基盤が確立した暁には、新しい設備や道具が必要になった場合、補助金制度を活用した導入も検討できます。
この企業は、特殊な技術力と将来への明確な展望を持っています。資金繰りの壁を乗り越え、若い力を迎えることができれば、必ずや地域社会に貢献し続ける強固な専門企業へと成長していくでしょう。
【今回のポイントを例えるなら】
この企業の状況は、まるでダムの放水量を調整する水門に似ています。水(仕事)は大量に流れ込んできますが、水門(資金繰り)の調整がうまくいかず、必要な場所に水(資金)が貯められない状態です。私たち経営コンサルタントは、水門を最適に管理するための計画(事業計画)を策定し、必要な時期に必要な量の水(運転資金)をプールできるよう支援することで、安定した水の供給(継続的な経営)を可能にします。


