成功の秘訣は「管理」にあり!少数精鋭で広範囲をカバーする建設業の挑戦
2025/12/04
認定支援機関の専門家として、先日ヒアリングを行った建設業界の法人様をご紹介します。
この会社は、創業から比較的間もない にも関わらず、非常に高度な専門性と幅広い業務領域を持つ、少数精鋭のプロフェッショナル集団です。
管理をメインとする専門性の高いビジネスモデル
この法人様は、静岡県の特定エリアに拠点を構え、特定のインターチェンジの近くに事務所を持つなど、利便性の高い場所で事業を展開しています。業種は建設業であり、建築一式という形で、地盤調査から最終的な仕上げまで、建物のすべてに関わる工事を一手に引き受けています。
特に注目すべきはその事業モデルです。彼らは単なる土木業者ではなく、建築に関わる土木(外構工事や基礎工事など)も担う、包括的な許可を取得しています。しかし、彼らのメインの業務は、設計管理や施工管理といった「管理」に重点を置いています。
従業員は少人数体制 であり、高額な重機や機材を自社でほとんど保有していません。現場作業は、同社が持つ強力な職人ネットワークを介して信頼できる下請け業者に任せ、品質と工程の管理に注力しています。この少数精鋭の体制で、ゼネコンからの案件、一般住宅の新築、旅館、さらには幼稚園のような公共施設・民間施設の改修工事など、非常に幅広い案件をカバーしています。
経営の現状と将来的なビジョン
この会社は、個人事業主から法人化を果たした経緯があり、法人化の背景には、人手不足への対応や税務上のメリットがありました。近年、売上はコロナ禍の影響で一時的に落ち込みましたが、現在は回復基調にあり、特に今期は好調な滑り出しを見せています。
経営者が描く将来のビジョンは、事業の拡大です。具体的には、既存の顧客から神奈川県方面での引き合いが非常に多いため、そちらに視点を設立したいという構想があります。箱根や湯河原、茅ヶ崎といったエリアでの仕事実績が積み重なっており、発注元(設計会社や元請け)の多くが神奈川や東京の企業であるため、現地に事務所を設けることで、よりスムーズな業務遂行を目指しています。
建設業特有の大きな課題:「人」への投資の難しさ
事業は順調なものの、経営者が最も大きな課題として挙げたのは、人材の採用と育成です。
法人化後、人を雇うことの難しさや、それによる経営的な負担の増大を痛感されています。特にこの会社が求めるのは、高度な知識と経験、そして現場全体をまとめられる能力を持った人材(一級建築士や一級施工管理士レベル)です。
しかし、建設業界全体が人手不足であり、かつ優秀な人材ほど大手企業に定着しています。中小企業が経験豊富な優秀な人材を雇うには、非常に高額なコスト(給与や募集媒体費用など)が必要となり、容易ではありません。
経営者は、人を増やすことが現時点ではかえって自分の仕事量を増やし、すべて自分で責任を負う結果につながっていると感じています。この人材難は、建設業や運送業、介護業界など、多くの業界で共通する深刻な課題です。
補助金活用の可能性と長期的な計画
過去には、厚生労働省管轄の雇用関係の助成金(キャリアアップ助成金など)の利用経験はありますが、設備投資を対象とする一般的な補助金はまだ利用されていません。
この会社は管理業務がメインであり、自社で重機を保有しないため、一般的な建設業向けの補助金(フォークリフトやショベルカーなどの購入)は適合しにくい状況です。また、営業車やトラックといった公道走行可能な車両、不動産 は、どの補助金でも原則として対象外となる共通ルールがあります。
しかし、補助金は全く使えないわけではありません。
- IT・業務効率化投資: 生産性向上を目的とした補助金制度(例:省力化補助金)は、事務作業や勤務管理などのシステム導入にも適用されます。管理業務を効率化するためのIT投資は、補助金の対象となる可能性があります。
- M&Aによる事業承継: 将来的な人材確保の難しさを背景に、経営資源(人材、経験、実績)が揃った会社を買収するM&Aも視野に入っています。M&Aの仲介費用や関連費用を補助する「事業承継・M&A補助金」も存在します。
- 革新的な設備導入: 重たい作業を軽減し、高齢の職人の方々が継続して働けるようにするための技術的な支援機器(例:マッスルスーツ)などは、補助金の対象となる可能性が高いです。
補助金の利用には、長期的な計画が必要です。事業計画書を作成・応募してから、実際に補助金を使って設備やシステムを購入できるまでには、最短でも数ヶ月の期間(例えば、7ヶ月から8ヶ月程度)を要します。そのため、将来的なビジョンに基づいた詳細な事業計画書の作成が、まず最初の一歩となります。
まとめ
この法人様は、少数精鋭ながら高度な専門性と管理能力によって、建設業界で確固たる地位を築いています。現在の最大の課題である「人材」と向き合い、M&AやIT活用といった多角的な戦略を検討することで、将来的な事業拡大の実現を目指しています。
この会社の成功は、まさに現場の「管理能力」という目に見えない資産に支えられています。しかし、管理業務は人に依存する部分が大きく、AIによる代替が難しい領域である反面、最もストレスが溜まり、経験値が問われる領域でもあります。人材不足という業界全体の逆風を乗り越えるためには、従来の枠にとらわれない新しい投資や戦略(M&Aや革新的技術の導入)が鍵となるでしょう。
この会社の事業モデルは、言わば「オーケストラの指揮者」のようなものです。自ら楽器(重機)を演奏するのではなく、多種多様な演奏者(職人)をまとめ上げ、複雑な楽譜(設計図)通りに、完璧な作品(建物)を創り上げています。しかし、その「指揮者」である経営者が、次世代の「優秀な副指揮者」を見つけるのに苦労しているのが現状です。
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