【現場レポート】継承された養殖場の課題と未来:非効率な手作業からの脱却
2025/10/16
【現場レポート】継承された養殖場の課題と未来:非効率な手作業からの脱却
後継者不足により廃業寸前だった養殖施設を引き継ぎ、希少な水産物(スッポンとチョウザメ)の陸上養殖から加工・販売までを一貫して手がける新たな取り組みを進められてる事業者がいます。地域経済と食文化の保護を目指す挑戦であり、「日本の事業承継と陸上養殖の未来を変える」という理念のもと、進められています。
この事業の大きな特徴は、SDGsに適合する持続可能な経営モデルにあります。養殖動物の餌として、地元の廃棄魚やおから、米ぬかなどの未利用資源を混合して活用する循環型の生産体制を確立しています。
ユニークな養殖環境
施設は、主に温かい水(温泉水)と冷たい水(山水)という二つの水源を活用しています。
- スッポンの環境: スッポンを育てるハウスでは、主に温かい水が利用され、水温を常に30℃近くに保つように管理されています。温かい水は冬場の水温低下を防ぎますが、夏場には逆に冷却効果を発揮し、水温が40℃を超えるのを防ぐ役割も持っています。スッポンは泥の中に潜る性質があるため、池の底は泥の状態が保たれています。
- チョウザメの環境: 養殖池の一部には、山の冷たい水が絶えずかけ流しで流れています。温かい水(温泉水)は外部の配管を通じて供給され、特に低すぎる水温で水産物Bが冬眠してしまうのを防ぐため、夜間に流されます。
- 出荷前の準備: 出荷する水産物については、体内の洗浄を目的として、約3日間、何も食べさせない「餌抜き」という工程が行われます。
- 繁殖と管理: 施設内には、産卵された卵を孵化させるための場所(深場)があり、ここでは数千個規模の卵が管理されています。孵化場では、電熱ヒーターなどを用いて自動的に温度(30℃)が設定・管理されています。
非効率性との戦い:立ちはだかる最大の課題
現在、養殖施設は廃業直前の状態を引き継いだため、設備が老朽化し、手作業中心の運用によって労働負荷が増大しています。
最大の経営課題は、養殖池の清掃性と捕獲の非効率さにあります。
- 泥底の課題: 現在、池の底が土壌むき出しであるため、泥や雑草、苔が堆積しやすく、水質悪化を防ぐための清掃作業が週に多くの時間(月間約40時間)を要しています。
- 捕獲の困難さ: 特にスッポンは泥の中に潜ってしまうため、出荷時の捕獲に多大な時間を要します。水と泥を抜き、池を2~3日間天日干しにして乾燥させなければ、効率的に捕獲することができません。コンクリート化されていない状態では、捕獲に1時間かかることもあります。
- 餌の攪拌作業: 地域の廃棄物等を活用したオリジナルの餌作りも、手作業で棒を使って混合(攪拌)しており、これに月間約30時間が費やされています。
省力化投資による未来戦略
これらの非効率性を克服し、安定的な収益構造を確立するため、事業者は省力化投資補助金を活用した二つの大規模な改善策を計画しています。
- 養殖池のコンクリート化: 養殖池の底面と周囲(約200㎡)をコンクリートで舗装する計画です(約500万円の投資)。これにより、清掃が容易になり(高圧洗浄機などが利用可能)、作業時間が大幅に削減されるほか(月間40時間から4時間へ)、水質管理の安定化や、泥に潜るスッポンの捕獲効率が劇的に向上することが期待されます。
- 餌の攪拌作業の自動化: 小型の自動攪拌機(タイマー付、約60万円)を導入し、手作業で行っていた餌の混合作業を自動化します。これにより、攪拌にかかる時間が月間30時間から5時間に短縮されます。
これらの省力化投資により、年間で大幅にの労働工数が削減される見込みです。
削減されたリソースの活用
削減された時間的・人的リソースは、販路拡大や営業活動、商品開発といった生産性の高い業務に再配分される予定です。
- 生産性の向上: 餌の均一化による出荷歩留まりの向上(10~20%増)や、養殖動物の死亡率低下が期待されます。
- 事業の多角化: 現場作業の負担が減ることで、企業が持つデジタル分野の強みを活かし、グループ会社の実績を基にした伝統工芸品の海外クラウドファンディング展開など、新規事業への投資が可能となります。
- 理想のサイクル: 究極的には、設備改善を通じて、現在3~4年かかるスッポンの出荷サイズへの成長を1年サイクルに短縮し、通年で販売できる体制を確立することが目標とされています。
この取り組みは、単なる工数削減に留まらず、売上増加効果を含む実質的な経営改善をもたらすと試算されています。
地域の産業を未来につなぐ挑戦として、今後の展開が注目です!
----------------------------------------------------------------------
株式会社ビジョンネクスト
神奈川県横浜市鶴見区岸谷2-16-15
資金調達のご相談に神奈川で対応
中小企業の経営を神奈川で支援
補助金のお悩みに神奈川より対応
----------------------------------------------------------------------


